医の散歩道

HOME > 医の散歩道 > 第15回 現代アートの画家・丸田恭子さんを訪ねて

2013年6月配信

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DNAや電子スピンの構造に魅かれるアーティストは理系女子

今回の「医の散歩道」はちょっと寄り道して、東京都国立市・宇フォーラム美術館で個展「地球の外側でYESと言う」を開催中のアーティストの丸田恭子さんを訪ねました。丸田さんは薬科大学を卒業後、米国ニューヨークに渡りアーティストになったという経歴の持ち主。“らせん”モチーフに込めた思いなど聞いてきました。

アーティスト・丸田恭子さんのモチーフは“らせん”。その時の見る人の心の持ちようで、上に向かっていくようにも、下に向かっていくようにも見える“らせん”を描いています。

このモチーフについてご自身は、「らせんや円環は自然発生的に生まれてきました。最近でも主題になり、また副題となって随所に登場してきます。らせんは根源的なエネルギーを作り、また、何かをつなげるときにも作用しうるもの。電子のスピンやDNAにも見られるように、本質的に重要な形なんだろうと思っています」と語ります。

写真 「発想が理系」とよく言われますよ、と笑う丸田さんの世界にはほかにも、“素時間”があります。「物質をだんだん細かくしていくと“素粒子”になるなら、時間も細かくしていくと“素時間”っていうのがあるんじゃないか」という発想のもと作られた作品が『素時間1.2.3』。

また、心理学や建築学用語の“中間領域”もよく使われます。薬剤の至適用量を“中間領域”と捉えた作品が『アルカロイド』。「夕暮れとか夜明け前とか、こっち側でもそっち側でもない。2つが浸透しあい、二元性も持つ“中間領域”に興味があります」。

絵を描いてない時は理系本の読書という、理系女子のアーティストは、「科学者が最先端のことを研究して科学的社会認識を行うように、私は絵画的な社会認識をしているんでしょうねえ」と絵を描く仕事を捉えています。

この個展のタイトルについて、「すべての根源にある肯定性それを全肯定、全受容と呼ぶ事にした。そこからすべては出発するのであって、YESもNOもそのあとに来るもの。うわべの批判は簡単にできるがまずはすべてを受け入れることによってのみ進むことができる。どんなに大きな謎や矛盾があっても、不安、怒り、悲しみがあったとしても全肯定という制作の根底に横たわる覚悟のようなものかもしれない」と述べている丸田さん。

気分が高揚している時には竜巻のような激しい回転にも、落ち込んでいる時には静止画のようにも見える丸田さんの“らせん”。外に向かうも、内でたゆたうも、どちらも「YES」と応えてくれる絵の強さも、アーティストの覚悟からきているものかもしれません。ぜひ作品の前に立って、「YES」という声を聞いてみてください。

次回展覧会「共振のはじまり」は、2013年6月27日~7月2日、長野市・ガレリア表参道で開催。

写真
丸田恭子

アーティスト
丸田恭子さんの略歴
個人サイト:http://www.kyokomaruta.com/

1978 明治薬科大学卒業
1982 渡米(~87年)
アートスチューデントリーグオブニューヨークにて学ぶ(~84年)
1983 ステラチャールズグットマン奨学金を受ける
1984 ボードオブコントロール奨学金を受ける
アートスチューデントリーグパーマネントコレクションに選ばれる
1997 二代目高橋竹山(津軽三味線)の舞台美術を手掛ける(~2000年)
2000 画集 『波動の絵画 丸田恭子』出版
2005 ベルリンにてアーティストインレジデンス
2007 信濃毎日新聞「風土と哲学」内山節さんの文章に絵を掲載 ~2008年
2009 駒ヶ根高原美術館賞受賞

 

 

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